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皆様こんにちは 薬剤師こうです。 今月はインフルエンザが流行していますが、インフルエンザはよく聞く様にウイルスです。 しかし、結核や細菌性食中毒などは細菌によるものになります。 正直、これらの違いは?と思った時に悩む方も多いと思います。 そこで今回は「ウイルス」「細菌」「真菌」の違いや抗ウイルス薬、抗菌薬、抗真菌薬について色々書いてみたいと思います。
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ウイルスの特徴や抗ウイルス薬について
ここではウイルスについて色々書いてみたいと思います。大きさなどの特徴も交えて解説したいと思います。 ウイルスの大きさ:10~300nm(ナノメートル) 特徴としては正直不思議な一面を持っています。 生物と言えば細胞から成っているというのはわかると思うのですが(もちろん人間も細胞から出来ています。)、ウイルスは細胞から成っていません。 その為、生物という位置づけに出来るのか怪しいのですが、ウイルスは他の細胞に寄生するとウイルス自身の持つ遺伝情報を元に増殖します。 ウイルスはDNAかRNAのいずれか一方の核酸しか持っていません。 そして、その核酸とそれを取り囲むタンパク質であるカプシドという殻をもつのが基本構造となります。 ウイルスの種類によっては、カプシドの更に外側にエンベロープと呼ばれる膜を持っているウイルスの種類もいます。 増殖するためには、世の中の何でもいいのですが、動物でも植物でも細菌でも何でもの生きた細胞が必要になります。(これを宿主細胞と言います。) 宿主細胞に侵入したウイルスはカプシドと言うタンパク質から核酸を出します。 そして、宿主細胞は増殖してくので、それと同時に自分の核酸の複製とタンパク質を合成して、それを組み立てることで新しいウイルスを作成します。 その作成したウイルスを宿主細胞から放出します。 ※エンベロープは宿主細胞から放出される際に、宿主細胞の核膜や細胞膜から作られます。 これらの工程からわかるように、ウイルスは人工培養は不可能になります。(増殖には生きた細胞が必要になるため。) これらの方法でウイルスは増殖していき、例えばインフルエンザやノロだともの凄い高速でこの作業が行われ、一気にウイルス量を増やします。 そして、身体が異物と感じ反応して発熱や嘔吐、下痢などの防御機構により症状を改善していきます。(御存知の通り身体的には物凄く苦しいですが・・・) しかし、ここからは薬の話になっていくのですが、御存知の通り抗ウイルス薬というのはある薬とない薬とがあります。 例えばインフルエンザだとタミフル、イナビル、リレンザ、ラピアクタなど・・・とありますが、逆にノロウイルスやアデノウイルスなどは治療薬がありません。

何故このようにウイルスの種類によって違いが出るのかといいますと・・・
宿主細胞に侵入して増殖するウイルスを宿主(この場合は人間になります。)の細胞を傷つけずに抑制するのが困難な為です。
しかし、最近では色んな科学者たちがウイルスに立ち向かいエイズウイルスなども発症を遅らせたり出来るようになってきました。
今後も色々なウイルスについて研究され、人間の細胞を傷つけずにウイルスだけをどうにかする方法もいっぱい出てくるかもしれません。
ただ、今現在でも全くウイルスに対して無力な訳ではありません。
例えば、抗ヘルペスウイルス薬のアシクロビル(ゾビラックス)はウイルス性の酵素にのみ反応してウイルスの感染している細胞にしか反応しないように作られており、その結果ウイルスの増殖を抑えることが出来ています。
そして、抗インフルエンザウイルス薬であるタミフル、イナビル、リレンザなどは宿主細胞内で増殖したウイルスが放出される過程で重要な役割であるノイラミニダーゼを阻害することでウイルス増殖を抑える効果を示しています。
このようにウイルスに対しても全く無力では無くなってきているので、今後もっと研究が進めば、色々ウイルスに対しても効果のある薬が増えて行くかもしれません。
次は細菌について書いてみます。
細菌の特徴や抗菌薬について
ここでは細菌の特徴について書いてみます。大きさなどの特徴について色々書いてみようと思います。 細菌の大きさ:0.5~5μm(マイクロメートル) 特徴としては・・・ ・原核生物である細菌には動物細胞のような核膜はありません。 ・染色体などは細胞質に浮いている為、核もあるのかわかりません。 ・染色体も1つのため、ミトコンドリアや小胞体などの細胞小器官もありません。 ・動物細胞と違う点は細胞膜の外側に細胞壁を有します。 ・細胞壁は一定の形と硬さを持っていて、浸透圧などから菌を保護します。 この様な特徴であるため、特に生きた細胞などは必要ではないため人工培養が可能です。 人工培養が可能なため研究などもウイルスに比べればしやすいと言えます。 次からは抗菌薬(抗生物質)について書いてみようと思います。 抗生物質は微生物から産生される抗菌薬の事を抗生物質と呼びます。 ペニシリン系とセフェム系を含むβラクタム系と呼ばれる抗菌薬は人間の細胞にはない細胞壁の合成を阻害することで菌をやっつけます。 マクロライド系はタンパク質合成の場所であるリボソームの構造が人間と細菌で違うことを元に着目してタンパク質合成を阻害することで抗菌作用を示します。 このように細菌に対しては、色々な構造の違いからその細胞を壊すために色々な種類の抗菌薬が開発されていますが、菌も構造を変えてきて従来の抗菌薬が効かない様な現象も起きてきています。 今後、このように抗菌薬の効かない菌に対してどういう手段を講じて行くかということが今後の課題になってきています。 最後に真菌について書いてみようと思います。
真菌の特徴や抗真菌薬について
ここでは真菌の特徴について書いてみます。大きさなどの特徴について色々書いてみようと思います。 真菌の大きさ:3~5μm(マイクロメートル)以上 特徴としては・・・ 一般的に「カビ」と呼ばれるのはこの真菌の分類に成ります。 カビと言えども色々あり、例えばキノコは真菌になります。あとは発酵などの酵母も真菌になります。 真菌の形態としては、 ・多細胞が連なる糸状菌(菌糸性真菌) ・球形の酵母(酵母様真菌) ・両方の形を取る二形性真菌 この様な形態があります。 真菌の細胞としては、真核生物と呼ばれ、核膜も持っていて、ミトコンドリアや小胞体などの細胞小器官も持っているため、細菌とは大きく違います。 細菌との同じ点としては細胞壁を有する所が同じになります。 細胞壁は人間の細胞には無いため、これらを検出する技術を用いて真菌の感染症の診断にも使用されたりしています。 このような特徴が真菌にはみられます。 人工培養という点では宿主細胞なども必要としないため可能です。 次は抗真菌薬について書いてみたいと思います。 抗真菌薬は人間で良く使われているのは、水虫に対してだと思います。 抗真菌薬は選択毒性があまり高くないので使用する場合には肝臓や腎臓などの内臓系や他の薬との相互作用などには十分気をつけないといけません。 ※選択毒性とは・・・特定種類の生物にとってのみ致命的な毒性を発揮する性質のことを言います。 ただ、先程も書きましたが、よく使われるのが水虫であるので、水虫だと局所使用で治療される場合が多く、真菌の細胞膜の合成を阻害することで選択毒性を高めています。 そして、局所使用ということで安全性も高まっていると言えます。 ただ、内服の抗真菌薬については上記に書いたような点を注意するようにして下さい。
最後に
今回は「ウイルス」「細菌」「真菌」について色々書いてみました。 書いてみて、もっと短くまとめれたら・・・と思うのですが、出来るだけ簡略して書いたつもりです。 今回の内容は興味のある方は少ないかもしれませんが良かったら参考にしてみて下さい。 肝心な事を1つ書いていませんが、上記の違いからもわかるように、抗菌薬でウイルスをやっつけることは出来ません。 その為、風邪やインフルエンザやノロウイルスで抗生物質が出ても効果がありません。 コレだけでもこの記事の中で知っておいて下さい。 下手に抗生物質飲むといざという時に効かないのも困るので、不必要な抗生物質は避ける事が望ましいです。 参考にしてみて下さい。
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